言語多様性【Language Diversity】について考えてみた~気候によって地域の言語多様性は変化する~
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言語多様性という言葉を聞いたことがありますか?
英語で言うとlanguage diversityです。
先日この言語多様性について面白い記事を読んだのでこの記事でご紹介します。
まず、なぜ私が言語多様性に興味があるのかといいますと、私のバックグラウンドに関係しています。
私のバックグラウンドに興味のない方、すみません。
私は大学で国際文化学科というふわっとした何をやっているのかよくわからない学科を専攻しておりました。要するに、なんでもありの学科です。その学科でフランス語、フランス哲学、社会言語学などを勉強していました。
その中でも社会言語学は特に社会で金になるわけでもないのですが、はまるとなかなか面白い学問です。
あまりにも社会言語学が面白くて、社会言語学を専門とされる佐野直子教授(今ではWikipediaにも載っている!)のもとであるプロジェクトにアルバイトとして参加してしまいました。
あるプロジェクトとは、オクシタン語(以下オック語)の辞書を作る、というものです。週3,4日くらい教授の部屋でフランス産のハーブティーをいただきながらマッキントッシュでオック語の単語の横に対応するフランス語、日本語の意味を打ち込んでいくというものでした。
その辞書は「オック語分類単語集」といって卒業後2007年に無事大学書林さんから出版され、中には私の名前もちゃんと載っています。
佐野先生の部屋にはそりゃもうたくさんの本、特に先生の専門の社会言語学、多言語社会についてのものが中心にありました。アルバイトが終わったらいつも2,3冊借りて読んでいました。
すごくいい経験でした。そんなこんなで現在も私は社会言語学にある程度興味があります。
言語多様性が地域によって違うのは気候が要因!?
言語多様性は世界で均一ではありません。話されている言語の数が多い地域もあれば少ない地域もあります。
生物学者Xia Huaさんなどによると、この違いは気候の違いに関係があるそうです。具体的に言うと、気候がマイルドな地域(赤道付近)と気候が厳しい地域(赤道から遠い地域)で違うそうです。
気候がマイルドな地域、雨がたっぷり降って、暖かくて、しかも資源(この記事では川)があるところは生きていくのに困らない。そうすると部族間で生きていくための協力することが必要なく、部族間のコミュニケーションをとる必要がなくなる。よって言語が多様になる。
対して、気候が厳しい地域では生きていく上で部族間でコミュニケーションをとることが必須となる。そうすると言語は全く同じか、似ている必要が出てくる。
というようなことが書いてあります。(だいぶおおまかに訳しましたが)
確かに。
面白い。
Xia Hua先生の記事"The ecological drivers of variation in global language diversity"はこちらから
上のリンクからXiaさんの記事が見られます。その真ん中あたりに黄色い世界地図があります。
赤い地域は言語の種類が多く、黄色い地域は話されている言語の種類が少ないことを示しています。
赤道直下のインドネシアでは700もの言語が話されている!?
赤道付近の国について調べてみました。
この記事ではインドネシアを例として調べてみました。
インドネシアでは何と約700もの言語が話されているそうです。
Hua教授の記事でもインドネシア、真っ赤になっていますね。
インドネシアで使われている言語をいくつかWikipediaで調べてみると。。。
5母音、22子音
語順はSVO。
動詞の活用なし
文字はアルファベット
ジャワ語
7母音、20子音
語順はSVO。
動詞の活用なし
文字は南インド由来
バリ語
6母音、子音は18の音素を組み合わせる
語順はSVO。
動詞活用なし
使用文字はバリ文字。非常に特徴的な文字
たった3つ調べただけですが、語順はSVO、時制、人称による動詞の活用はなさそうですが、発音、文字は違っていそうですね。
インドネシアに住んだことのある方に聞くと、上3語を含む各言語は方言を除いて全然違うそうです。
北欧の言語はよく似ている
北欧で話されているのは7言語といわれています。
インドネシアは1つの国だけで約700もの言語があるのに、北欧は北欧という地域だけでたった7つ。
フィンランド語とサーミ語は言語グループが違いますが、残りの5つは似ているそうです。
特に、デンマーク語とノルウェー語は使用文字が同じでよく似ています。
ヨーロッパ自体言語が似ているのでお互いの言語習得は比較的容易、というのは聞いたことがあります。
こうやって調べてみるとXiaさんの言っていることは一理あるように思えます。まあ、専門家ではないので断定はできませんが。
まとめ
今日は気候によって地域の言語多様性は変化する、ということについて考えました。
インドネシアなど赤道に近いため多雨多林、そして資源があるため生きていくのに困らない地域では言語が多様になる。
北欧など自然環境が厳しいところでは部族ごとでコミュニケーションをとる頻度が高いためお互いの言語が似る。
ということがわかりました。
世の中英語英語と叫ばれていますが、少数派言語にも興味が出てきたカピバラでした。
Love, カピバラ